『老後の資金がありません』
前回のブログで紹介した『必勝 ‼︎ 終活塾』では、地味葬を実現するために事前の下調べが如何に大切かを書きました。
そうでないと『老後の資金がありません』という事態になりかねないことをフィクション化したのがこの小説です。
生活戒名にも影響を与えた1冊
柿谷美雨さんの作品は、『うちの子が結婚しないので』『姑の遺品整理は、迷惑です』『定年オヤジ改造計画』『夫の墓には入りません』『うちの父が運転をやめません』など、タイムリーな社会問題を取り上げたものが多く、私も何冊か読みましたが、読みやすく、面白く、読後感もさっぱりしています。
『老後の資金がありません』は、泣けなしの老後資金が思いもよらぬ形で取り崩されていくさまを、リアルに、シリアスに、けれどもコミカルタッチで描かれています。
じつはこの小説、私がエピローグ令和を立ち上げる、その背中を押してくれたとも言える「曰く付きの」1冊です。
主人公は、堅実で合理的な53歳の主婦。
旦那は、呑気で見栄っ張りな定年間近(57歳)のサラリーマン。
老後資金1200万円とけっして潤沢とはいえない状況で、娘の結婚話が持ち上がるところから物語は始まります。
親としては地味婚にしてもらいたいし、じつは娘本人もそれを望んでいる。
ところが、相手が地方スーパーチェーンを手掛けるオーナーの御曹司。親の商売上の都合で、一流の会場で盛大に挙式を行うらしい。。
結婚費用は600万円。折半したとして300万円。
主人公の母は、なんとかこれを切り詰めようと娘を説得する。老後の資金が減ることを食い止めるために。
一方の旦那は全く危機意識がなく、相手の都合、両家の釣り合い、ハレの日なんだから、そんなことばかり考えている。
とはいえ、イニシャチブは完全に新郎側が握っている。
どうすることもできなく、“人生最後の大きな出費”と覚悟を決めて、予定通り盛大な披露宴を執り行なうことに。
結局掛かった費用は、挙式と披露宴、それに新婚旅行や新居の準備などで、300万円を大きく上回る500万円。
釈然としないまま、それでも平常を取り戻しつつあった主人公夫妻に更なる試練が降りかかります。
主人公の舅(しゅうと)が亡くなり、その葬儀費用を負担することに。
このあとまだまだ続きますので、それは次回のブログで。
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