実力が運を呼び込む
『TVホスピタル』最新号でもう一つ興味深かったのが、表紙を飾った川口春奈さんのこと。
急遽、大河ドラマの大役にピンチヒッターで抜擢されたことで注目を浴びました。
実際に大河ドラマを見てはいませんが、好演していると聞いています。
“ピンチ” ヒッターは“チャンス” メイク
世の中には、突然のピンチヒッター起用を大きなチャンスに変える人がしばしば現れます。
最近では、報道ステーションの代役キャスターが、その安定感が評価されて株を上げました。
クラシック音楽界では、こんな逸話が残されています。
1986年、歴代指揮者きっての巨匠、ヘルベルト•フォン•カラヤンが、コンサート本番の直前に急病のためタクトを振れなくなりました。
その時、急遽ピンチヒッターが回ってきたのが、当時アシスタントを務めていた山下一史氏。
ところが、あまりにも突然であったため、ステージ衣装の持ち合わせもなく、聴衆も驚くジーンズ姿で登場。
曲はベートーベンの第九。これが好評を得たため、その後、山下氏は活躍の場を大きく広げていきました。
いずれも、目の前に突如現れたチャンスを“モノにした” 例です。
計り知れないプレッシャーがあったに違いありませんが、臆せず怯まず挑んで成功を収めました。
この方々は、チャンスがやって来る前から、地道な努力を続けていたのだと思います。
「運も実力のうち」という言葉がありますが、そうではなくて「実力が運を呼び込んだ」と言えるでしょう。
敷かれたレールを踏み外して
思いおこせば、私にもピンチヒッターの数々が。
大学の音楽サークル時代。同期の指揮者候補部員が途中で退部したために、お鉢が回ってきたのが私。
社会人になりブックオフ在職時。山梨県甲府市の店長が忽然と姿を消し、いきなり「行けっ!」と命じられたのが私。
なにも実力があって回ってきたピンチヒッターではありませんが、「まあこれも人生」くらいに気楽に考えて、まずは飛び込んでみました。
成功だったかどうかはいざ知らず、貴重な体験ができ、生きていく肥やしになったことは間違いありません。
こういった予期せぬ出来事は、まだまだやって来るような気がします。
それをワクワクと待ち望んでいる自分がいます。
若いときのように、リスクを取っても成長したい、などと考えているのではありません。
敷かれたレールを一歩踏み外して、見たことのない世界を覗いてみるのが面白いのです。
筋書きの読めない残り半生を、これからも。