寺院の改革
檀家の減少、葬儀の簡略化等の理由で、僧侶が受け取るお布施、つまり収入は年々減る傾向にあるかもしれません。
だから一件当たりのお布施は増え続けている。それは仕方がないこと。
一見すると真っ当な理屈とも言えなくもないですが、私が長らく働いた民間企業の感覚からすると、こんな理屈が通じるはずがありません。
時代の流れや消費者志向の変化、法の変わり目、競合他社とのシェア争い、あるいは国際競争や為替などの変動要因に絶えず晒されています。
百年一日のごとく同じことを繰り返しているだけの企業は、ほぼ間違いなく売上が萎んでいきます。
そして淘汰されます。
多くの企業は、生き残りを掛けて必死で改革をし続けるしかありません。
民間企業では当たり前のことですが、僧侶の世界では当たり前ではないようです。
誰か(おもに檀家)が支えてくれるのが当たり前、という構図を江戸時代から続けてきたのでむりからぬことです。
ですが、民間企業と同様の危機感を持って改革に務めている僧侶も存在します。
BS テレ東のニュース番組「日経プラス10」に、築地本願寺で寺院改革を手掛ける安永雄玄宗務長という人が出演していました。
安永氏は元銀行マンという異色の経歴を持ちます。
築地本願寺では、信者でなくとも気軽に立ち寄れるカフェを開設。色鮮やかで食欲をそそる(?)精進料理などが楽しめます。
このカフェではランチタイムコンサートも催されています。
これで驚いてはいけません。
なんと本堂にはパイプオルガンが!
恐らく讃美歌は演奏されないと思いますが。
間口を広く、多くの人に関心を持ってもらい、新たなファン(信者)を育てることは、マーケティングの基本中の基本です。
もちろんコロナ禍においては、オンライン法要やZOOM 法話をいち早く導入。ITの導入も抜かりありません。
このように立て続けに迅速に改革を実行しています。
「改革をしなければ潰れるだけ」といったことを安永氏が発言していました。
全国の寺院、僧侶にエールを送ります。
「ファイト‼︎」